【うつ病ラボ】本当の自分の取り戻す☆活かす

本当の自分を取り戻し、自分を活かす方法

妹の命の灯が消えた日⑪

妹が夜中に友人の家でオーバードーズをして、急に友人宅を飛び出し、自宅そばの道路を徘徊、飛び出して2台の車に撥ねられた。(詳細:第2話 第3話)

 

妹の命が絶望的だと知った時、私は本当に大きなハンマーで頭を殴られたようなショックを受けた。

 

妹は私が妊娠して中絶してから、私を励ますために毎日電話とメールをくれた。私が独りでアパートにいるから悲観的にならないよう、淋しくないように気遣ってくれていた。私はその後どんどん調子が善くなっていったが、逆に妹は悪化していった。当時妹が付き合っていた恋人の影響もあったと思う。

 

「暴力を振られるし、仕事をしない男だけど、やっぱり好きだから私が何とかしないと…」

 

そんなようなことをよく言っていた。

 

妹の仕事の仕方にも無茶があったし、段々良くない仕事にも手を染めるようになっていた。

 

「姉としては自分の妹が良くないことしていて応援はできないよ。それを勧める男もおかしいと思う」

 

私がそういうと、妹は

 

「お姉ちゃんは全然分かってない」

 

と言い返してきた。妹はリストカットオーバードーズで度々病院に運ばれ、病院や警察から電話がかかってくることもあった。懲りずにやる危ない仕事…

 

私は妹にメールで伝えた。

 

“いつまでそんなこと続けるの?お金も大事だけど、先ずはちゃんとした生活をして心を治すことが先決でしょう?私はやっと普通の生活ができるようになってきたのに、あんたは私の足を引っ張るの?”

 

そのメールを送った1週間から10日くらい後だと思う…
妹がオーバードーズして道路に飛び出したのは…。


私は集中治療室のベッドで意識の戻らない妹の顔を見ていてたまらなくなった。

 

罪悪感…

 

せっかく新しい街の新しい部屋に引っ越してきたけれど、引っ越してきた初日から最悪だった。仕事には行かなくなって、毎日昼から酒を飲み続けた。夜は怖くて眠れなくて、また病院で安定剤と眠剤を処方してもらった。薬を飲んでも眠れない日々が続いた。

 

それによく泣いた。

 

こんなに泣いても涙は枯れないのね、ってほど泣いた。
子供の頃からいつも一緒だった妹との思い出を思い出すと涙が止まらなかった。

 

“あの子がこうなったのは私のせい”

 

なんかもう本当に死んでしまっても良かった。今なら死ねる、そう思った。
食事もろくにしていないのに薬とお酒と不眠の日々…

 

ちょうど私が暮らしていた部屋の近くに、水商売をしていた頃のお客が暮らしていた。
Nといって、歳は私と同い年、誠実で気真面目で優しい男だったが、私と同じように心の病に悩んでいたことから仲良くなって、時々ランチを共にすることがあった。

 

「大丈夫かい?君、そんな生活をしていたらそのうちに本当に死んでしまうよ」

 

Nは心配してよく私の家に差し入れをしてくれた。
私の支離滅裂なメールや電話にもよく付き合ってくれた。

 

「薬は僕が預かろうか?君が全部持っていたらまたオーバードーズするでしょう?」

 

そういってNは私から薬を取り上げ、毎晩薬を届けてくるようになった。

 

Nは私に恋愛感情を抱いていたけれど、私はNを友達以上に何とも思えなかった。居ても邪魔にはならないし…私の世話をしたいなら好きにして、という感じだった。恋愛なんてその時は全く余裕がなかったし、特にNに対しては恋愛感情が湧かなかった。

 

「じゃあ、おためしで付き合わない?半年、3ヶ月でもいいから。それでだめなら諦めるから」

 

Nの間抜けな告白にうんざりしながら、それでも感謝もしていた。

 

「私、好きな人がいるの。それでも良ければ…まぁ付き合っていくうちに好きになることもあるかもね」

 

そう返事したものの、やっぱり申し訳ないけどNのことは好きになれなかった。
都合良く彼を使うだけだった。

 

妹のいる病院は私の暮らす街から電車、バス、タクシーで2時間くらいかかっていくのもしんどくなってきた。妹は脳死していて、もう絶望的だった。そんな妹の姿に会いに行くことが段々意味なく思えてきた。

 

仕事もしない、妹にも会いに行かない、ただ酒を飲んでいるだけの生活だった。
せっかく貯めたお金もどんどん無くなっていた。

 

「ねぇ君はどうしたら生きられるの?生きる気力が湧くの?」

 

Nが“死にたい”を連発している私にそう言った。

 

「もう自分のためにだけは頑張れない。誰かのためにしかがんばれない…妹の代わりが欲しい」

 

 

私はNの顔なんて全く見ないでそう言った。