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病み姫セルフヘルプ【うつ病ラボ】

女性が自分でうつ病やパニック障害、依存症を克服するためのブログ。プロフィールも見てくださいね♪

妹の命の灯が消えた日⑨

廃人のような生活の中でたった一つだけ私に楽しみがあった。

 

すごく好きな人がいた。

 

父が倒れてから知り合った人だったのだけど

かなり年上で落ち着いた人で
ドライブに連れていってくれたり
散策に出かけたり
一緒にご飯食べたりして

他愛もないことなのだけど

その人と一緒にいると私はすごく気が休まって安心できた。

 

だからすごく甘えてしまって、その人にすごく依存して、執着心も大きかったと思う。

 

ねぇねぇ私の話しを聞いて
もっと一緒にいたいよ
淋しい時はずっとそばにいて話聞いてよ

 

ずっとそんな感じでメール、電話が耐えなくて、
始めは頻繁に返答があったのに段々返事が2回に一回、
5回に一回…そうなると私は控えるどころかもっとしつこくなって、
10回に一回そっけない返事が返ってきて…

 

というか、彼だって社会人で朝から晩まで仕事をしているわけで。
その都合を全く無視して一方的に自分のしてほしいことを伝え続けた。

 

彼は悪人ではないし、大人だから、年下の私が悪い子ではないことは分かっていたと思うし、心の病のこと父のこともちゃんと理解していてくれていたけど

 

私の迷走・暴走にほとほと疲れてきていたと思う。

 

ある時から全く返信も来なくなって電話もなくなった。

 

その度に哀しくてリストカットしてみたり、煙草の火を自分の腕に押し付けてみたり…
でも少し経って気付いた。

 

“私妊娠している”

 

とにかく彼に言わなきゃ!そう思ってけど電話もメールも返事がない。

家に行っても不在。

もう頭の中がすごく混乱してどうしたらいいか全く分からなかった。
すぐに妹に相談した。


「ねぇ、誰の子なのよ?連絡取れないってどういうこと?!」


妹は電話口で興奮したように尋ねてきて

 

「すぐにそっちに行くから!!!始めから順序立てて話して!」


そう言って来てくれた。

今思うとすごく愚かだけど、私は一人でも産む気だった。


産婦人科では当たり前だけどすごく心配された。薬をたくさん飲んでいて、父親が出てこない、正常な判断もできないのに大丈夫なの?って。

 

もっともだと思う。

 

産婦人科に行くのもかかりつけの心療内科に行くのも母親にそのことを打ち明けるのも
全部妹が傍にいてくれた。母親は激怒、絶対堕胎しなきゃダメだって怒鳴った。

 

でも私は産むの一点張り。

 

周りの人は全員ダメだって言った。
その中で妹だけは

 

「私が一緒に育てるよ!大丈夫、きっと二人で頑張れる」


って味方でいてくれた。何もできない私の代わりに母を説得してくれた。妹は自分のことは全く頑張らないのに人のことになると必死になる。

 

でも結局、その後ここに書き切れない経緯が色々あって、結局私は中絶することになった。

 

もうダメなのに、いつまでも諦めがつかなくて手術台に上がるまで泣いていた。

 

「泣いていたら手術する先生だって辛い。もう泣きやみなさい」

 

看護師さんの言葉が胸に刺さった。
悲しいのは私だけじゃない。
先生も妹も母親も彼もみんなみんな辛かったと思う。

 

 

手術は本当に短い時間で終わった。
真夏で外はうるさいくらい蝉が泣いているのに、私は寒くて寒くて振るえながら病院から自宅まで帰った。私の部屋で妹が待っていてくれて、私の手を取って泣いた。


「もう泣くのはこれで最後にする。…もう前を向いて歩こうね。」


そう妹が言った。
その時の私にとって味方は妹だけだった。

ずっと

 

皆大嫌い

 

そう思ってきたけれど、一番人を振り回して傷つけているのは私自身だった。

どれだけ自分勝手だったか、その時は全く気付いていなかった。

 

私の個人的で勝手な見解だけど、
精神を病んで何かに依存して、薬を多量に服用している時は本当に周りが見えていない。

 

いや、そんなレベルではなくて、自分中心に世界が回っていて、善悪の区別もつかない。きっと罪を犯す人や自殺してしまう人は正常な人間が考えつくような思考回路になっていないと私は思う。

 

 

私は毛布にくるまりながらベランダで咲いているたくさんの白い花を見つめていた。
蝉の鳴き声がしていた。

 

妊娠が発覚してから私は独断で、服用していた薬を一切止めて破棄していた。医師にはしてはいけないことだと言われていたけど、私は勝手に止めた。

 

だけど薬を止めた反動は何も起こらなかった。

 

むしろ私の頭と目がやっと働きだしたようですっきりしていた。

 

産んであげられなかった命、ずっとそばで励ましてくれていた妹、施設でリハビリを頑張っている父に“ありがとう”と“ごめんなさい”を伝えて自分を変えなきゃ…

 

そう思った。

 

白い花がただ咲いているだけで、すごく私に元気をくれた。

 

私は変わる決心をした。

 

「働こう、引越しをして新しい職場、部屋で再スタートしよう」


私は立ち上がった。